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ラブホテル物語
最初がラブホテル
4話

すがりつくような目で訴えられて、私は「本当に代わりでいいの?」って加藤に聞きなおした。加藤が「構わない」っていうから、私は「じゃあ、抱いて」っていったんだった。そこまでの記憶が、まるで津波のように私の中でよみがえる。けれどその後、どうやってラブホテルにたどり着いたかは思い出せない。ただ何度も「悟」って名前を呼んだと思う。身体のあちこちに弾ける快感の粒を追う様に、何度も何度も。でも、それっていくら了解をとっているからって、加藤に失礼過ぎるんじゃないの?自分に対する嫌悪感が押し寄せてきて、私はふとんの中にすっかりともぐりこんでしまった。そして、小さく「ごめん」と呟く。「いいんです。僕が代わりでいいっていったんだから。それじゃあ、昨日のこと、全部思い出してくれたんですか?」加藤がふとんごと私を抱きしめて問うてきた。「ごめん。ホテルについてからの記憶はまだ思い出せない」私がそういうと、ばっとふとんをはぎとられる。急に冷気が顔に触れて、私はふるっと震えた。今にも泣き出しそうな加藤が私の顔を覗きこむ。「本当に?そこは何も思い出さないんですか?」顔が近い。答えようとした私の言葉がキスに封じられる。

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