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ラブホテル物語
海水浴ラブホテル
3話

女はがくがくと細かく身体を震わせ始める。自分で自分を抱きしめるようにすると、寒い寒いと歯までカチカチと鳴らし始めた。それでも、俺にひとりで帰れといわれたから、必死にひとりで立とうとしている。けれど、まるで生まれたての小鹿のように足ががくがくと震えて、立ち上がらない。何度が砂浜をかくように足先がすべると、結局はぺたんと砂に上に腰が抜けた状態になってしまった。こうなってものをさすがの俺も見捨ててはいけなかった。「わあったよ。俺が連れていってやるからよ」この状況ではもう、そういうしかないだろう。俺は震える女を横抱きにすると、ラブホテルに向かって歩きだした。女はそれで安心したのか、眼を閉じて俺の胸に頭をつける。悔しいが、そういう姿は結構かわいいかもしれない。思わず胸がぐっときてしまった。ラブホテルにつくと、女から渡された鍵で部屋に行く。女をとにかく毛布にくるむと、まだ寒がっているので急いで風呂に湯を張り始めた。なるべく湯気をたたせて、浴槽内自体もあたたかくしてやる。それから、備え付けのポットでコーヒーをいれてやると、女に渡した。女はまるで毛布の中からそっと手を出すとカップを受け取る。

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