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4話

熱いコーヒーを飲み干すと女の紙のように白かった頬にも紅色がさした。「よし、少しは色が出たな。それじゃあ、風呂に入ってこい」俺がそういうと、素直に頷く。そして破れた服の前を腕で隠すようにして、浴室へと入る。けれど、一度閉じた扉が開いて、女がまた顔をのぞかせた。「帰らないで」そういうと、女は扉の向こうに消える。女が風呂に入っている間に、こっそり抜け出そうとしているのは丸わかりだったというわけだ。俺は「OKしてないぞ」といいながらも、すがるような女の眼を思い出すと立ち去るに立ち去れない。結局、女がほかほかと湯気をあげながら、お風呂から出てくるまで部屋であぐらをかいて待っていることになってしまった。たぶん、女がお礼でもいいたいのだろうと思っていたのだ。それに、どうしてこんなことになったのかを聞く権利が俺にはある気がしていた。クイーンサイズのベッドの上で、俺と女は正座して向き合ったまま、しばらく時間が経つ。さっき延長するかどうかの電話がフロントからあったが、思いっきりのばしてもらった。だからといっていつまでもこうしているわけにはいかないだろう。「すいません。昨日、ここで婚約者と別れたんです」

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