ラブホテル物語
愛だけのラブホ1話:セックスという行為
里美はラブホテルがあまり好きではない｡というか､セックスという行為自体があまり好きではないといったほうがいいだろう｡なぜなら､自分は子供の産めない体だからだ｡セックスは子供を作るための行為だと､小学校の性の授業でならった｡そう習ったのだ｡決して､快楽を得るためのものとは習わなかったし､また快楽が得られるとも習わなかった｡愛する者同士がするものということも､もしかしたら端折られていたかもしれない｡実際社会に出てみると､それもうなずけることが多い｡愛しているからという理由ばかりでセックスをしている人たちばかりでは決してないだろう｡それは理解できるようになったのだが､どうしても子供を作る行為以外のセックスには抵抗があった｡その上､子供ができない体なのだから､これではセックスをする意味がない｡だから､里美は36になるまでずっと処女でいたのだ｡それを恥ずかしいとも思わない｡どうして結婚しないの?と聞いてくる人もいたが､子供ができない体だというと妙にトーンが変わってしまう｡おためごかしに､それでも添ってくれる人はいるわよとはいうけれど､誰も｢それが関係あるの?｣とは言わない｡それが現実だ｡
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