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ラブホテル物語
![]() 2話:子ども 子供を作る以外のセックスはしない。だから、子供ができない体の里美はセックスをする必要がない。その考えで、ずっと36年間生きてきたのだ。それがこの春先から、少し変わってきていた。それに里美自身はまだ気づいていなかった。ただ、春に支社から異動してきた、5歳も年下の竹下が気になっていた。やたらとランチには誘ってくるし、仕事で失敗するとグチを聞いてほしい、アドバイスしてほしいとふたりっきりの飲み会にもよく誘われた。そうやって慕ってくれる後輩がかわいくないはずがない。けれど、先輩後輩と思っていたものが、最近おかしいのだ。ほろ酔い気分になると、竹下は「里美先輩」と呼ぶようになった。いつもは苗字の船橋先輩なのに。それも、もっと酔ってくると、「里美さん」になる。そして、つい昨日のことだ。とうとう、その呼び名が「里美」に変わった。濡れたキスをした後、ため息のように告げられる。里美は自分たちの関係がただの先輩後輩から恋人に代わったのだと実感した。そして、今日。仕事が終わるまで待つと竹下が言ってきた。それが何を意味するのか、経験はなくても知識はある里美にもわかる。寒さに震えながら、ふたりで会社を出る。 『愛だけのラブホ』の一覧へ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ホテル掲載依頼 ![]()
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ラブホテル物語![]() 2話:子ども 子供を作る以外のセックスはしない。だから、子供ができない体の里美はセックスをする必要がない。その考えで、ずっと36年間生きてきたのだ。それがこの春先から、少し変わってきていた。それに里美自身はまだ気づいていなかった。ただ、春に支社から異動してきた、5歳も年下の竹下が気になっていた。やたらとランチには誘ってくるし、仕事で失敗するとグチを聞いてほしい、アドバイスしてほしいとふたりっきりの飲み会にもよく誘われた。そうやって慕ってくれる後輩がかわいくないはずがない。けれど、先輩後輩と思っていたものが、最近おかしいのだ。ほろ酔い気分になると、竹下は「里美先輩」と呼ぶようになった。いつもは苗字の船橋先輩なのに。それも、もっと酔ってくると、「里美さん」になる。そして、つい昨日のことだ。とうとう、その呼び名が「里美」に変わった。濡れたキスをした後、ため息のように告げられる。里美は自分たちの関係がただの先輩後輩から恋人に代わったのだと実感した。そして、今日。仕事が終わるまで待つと竹下が言ってきた。それが何を意味するのか、経験はなくても知識はある里美にもわかる。寒さに震えながら、ふたりで会社を出る。 『愛だけのラブホ』の一覧へ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ホテル掲載依頼 ![]() #次のページ ![]() ![]() ![]() ![]() |