XHTML版 | HTML版 | DebugString | ||
ラブホテル物語
![]() 4話:家族になれない ある日、急に雨が降り出したので、太一は駅まで瑞穂を迎えに行く。太一の姿を見つけた瑞穂は、本当にうれしそうだった。が、「家族だから当たり前だろ」というと、瑞穂は今度は複雑そうな顔に変わる。「ううん。私だけ、本当の家族じゃないよ。それはわかってる。それに私、時々一郎さんのこと嫌いになりそうになるから」瑞穂と静も早くに両親を亡くして、ふたりっきりで育ってきた。静は瑞穂にとって唯一無二の肉親だったのだ。それを山本家にとられたような気分になるのは、仕方ないのかもしれない。けれど、太一の気持ちは別のところにあった。「俺も瑞穂さんのことを家族だとは思っていない」突然の言葉に瑞穂は目を大きく見開く。「俺は、瑞穂さんに一目ぼれしたんだ。だから、妹みたいには見れない」そう言葉に出して、初めて太一は自分の本心に気づいた。ずっと抱えていたもやもやした気持ちは恋心だったのだ。妹といわれても、そういう意味で守りたいという気持ちにはなれなかったから。ひとつ屋根の下、好きな人と兄弟のふりをして暮らすのはそろそろ辛くなっていた。「私も、太一さんのこと、兄弟とは思えない」瑞穂の言葉に今度は太一がおどろく。「同じ意味で?」 『大家族ラブホテル』の一覧へ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ホテル掲載依頼 ![]()
※前のページ
#次のページ ![]() ![]() ![]() ![]() |
ラブホテル物語![]() 4話:家族になれない ある日、急に雨が降り出したので、太一は駅まで瑞穂を迎えに行く。太一の姿を見つけた瑞穂は、本当にうれしそうだった。が、「家族だから当たり前だろ」というと、瑞穂は今度は複雑そうな顔に変わる。「ううん。私だけ、本当の家族じゃないよ。それはわかってる。それに私、時々一郎さんのこと嫌いになりそうになるから」瑞穂と静も早くに両親を亡くして、ふたりっきりで育ってきた。静は瑞穂にとって唯一無二の肉親だったのだ。それを山本家にとられたような気分になるのは、仕方ないのかもしれない。けれど、太一の気持ちは別のところにあった。「俺も瑞穂さんのことを家族だとは思っていない」突然の言葉に瑞穂は目を大きく見開く。「俺は、瑞穂さんに一目ぼれしたんだ。だから、妹みたいには見れない」そう言葉に出して、初めて太一は自分の本心に気づいた。ずっと抱えていたもやもやした気持ちは恋心だったのだ。妹といわれても、そういう意味で守りたいという気持ちにはなれなかったから。ひとつ屋根の下、好きな人と兄弟のふりをして暮らすのはそろそろ辛くなっていた。「私も、太一さんのこと、兄弟とは思えない」瑞穂の言葉に今度は太一がおどろく。「同じ意味で?」 『大家族ラブホテル』の一覧へ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ホテル掲載依頼 ![]() #次のページ ![]() ![]() ![]() ![]() |