XHTML版 | HTML版 | DebugString | ||
ラブホテル物語
![]() 1話:ヘタレな課長 「課長、部長がお呼びです」冷たい声で田中課長に告げると、あやふやな微笑みを返された。「またかあ。ねえ、緑ちゃん。僕は今日、病欠だって言ってくれない?」両手を合わせてお願いされたけれど、聞いてあげられるわけがない。「部長は、もう田中課長の姿を見てます。無理です」つっけんどんに答えると、本当にがっくりと肩を落とされた。「わかったよ」しぶしぶというように立ち上がる、けれど、またパッと顔を明るくさせた。「それじゃあさ、今さっき40度の熱が出て帰宅しましたっていうのはどうだろう?」まだこりてなかったらしい。「あ、部長です」と嘘をつくと、「ひっ」と後ろに飛びのき、近くの植木鉢を盛大にひっくりかえした。「あ〜あ。そうだ、この鉢植えを片づけておくから、緑ちゃんが代わりに聞いてきてよ」慌てて土を両手でかき集めながら、田中課長はなおも抵抗しようとする。たまりかねた私は課長の襟首をつかみ、そのまま引きずるようにして廊下まで出て行った。「いたたたた。わかったよ、わかったから、離して」廊下に出たところでようやく田中課長は降参してくれたようだ。パッと手を離すと、勢いあまって課長はドンと壁に体を打ちつけた。 『ヘタレラブホテル』の一覧へ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ホテル掲載依頼 ![]()
※前のページ
#次のページ ![]() ![]() ![]() ![]() |
ラブホテル物語![]() 1話:ヘタレな課長 「課長、部長がお呼びです」冷たい声で田中課長に告げると、あやふやな微笑みを返された。「またかあ。ねえ、緑ちゃん。僕は今日、病欠だって言ってくれない?」両手を合わせてお願いされたけれど、聞いてあげられるわけがない。「部長は、もう田中課長の姿を見てます。無理です」つっけんどんに答えると、本当にがっくりと肩を落とされた。「わかったよ」しぶしぶというように立ち上がる、けれど、またパッと顔を明るくさせた。「それじゃあさ、今さっき40度の熱が出て帰宅しましたっていうのはどうだろう?」まだこりてなかったらしい。「あ、部長です」と嘘をつくと、「ひっ」と後ろに飛びのき、近くの植木鉢を盛大にひっくりかえした。「あ〜あ。そうだ、この鉢植えを片づけておくから、緑ちゃんが代わりに聞いてきてよ」慌てて土を両手でかき集めながら、田中課長はなおも抵抗しようとする。たまりかねた私は課長の襟首をつかみ、そのまま引きずるようにして廊下まで出て行った。「いたたたた。わかったよ、わかったから、離して」廊下に出たところでようやく田中課長は降参してくれたようだ。パッと手を離すと、勢いあまって課長はドンと壁に体を打ちつけた。 『ヘタレラブホテル』の一覧へ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ホテル掲載依頼 ![]() #次のページ ![]() ![]() ![]() ![]() |