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ラブホテル物語
![]() 2話:恋の病 「大丈夫ですか?」一応声をかけると、イタタタと顔をしかめながらも手を振って大丈夫だとアピールしてくる。「いいよ。キミが悪いわけじゃない。逃げ出そうとして、変に力を入れていた僕が悪いんだから」課長はいつもそうだ。私を責めようとは決してしない。悪いのは自分だって言う。「田中!早く来い!」部長に早速見つけられた課長はびくうっと体をまっすぐに伸ばした。万事休すだ。「あの、悪いけど鉢植えを片づけるのは後でやるから、ごめんね」そう言うと、田中課長は部長のところにすごすごと重い足取りで消えていった。それを見送ったあと、鉢植えを片づけた。だって、もともと驚かせたのは私なんだもん。いつだってそう、悪いのは私。それなのに、どうして一度も責めないの?「へたれ課長!」口の中で小さく毒づく。本気で嫌っているわけじゃない。むしろ、いつも目が離せなくなってしまっていた。しょっちゅう部長に呼び出されて怒られている、出世も絶対に望めないような人に私はたぶん、恋をしてるんだ。ぼんやりと部長室の扉を見つめた。その扉の向こうで、またあの陰険な部長にがみがみと怒鳴られ続けているのかと思うと、胃の底がきゅっとなる。 『ヘタレラブホテル』の一覧へ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ホテル掲載依頼 ![]()
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ラブホテル物語![]() 2話:恋の病 「大丈夫ですか?」一応声をかけると、イタタタと顔をしかめながらも手を振って大丈夫だとアピールしてくる。「いいよ。キミが悪いわけじゃない。逃げ出そうとして、変に力を入れていた僕が悪いんだから」課長はいつもそうだ。私を責めようとは決してしない。悪いのは自分だって言う。「田中!早く来い!」部長に早速見つけられた課長はびくうっと体をまっすぐに伸ばした。万事休すだ。「あの、悪いけど鉢植えを片づけるのは後でやるから、ごめんね」そう言うと、田中課長は部長のところにすごすごと重い足取りで消えていった。それを見送ったあと、鉢植えを片づけた。だって、もともと驚かせたのは私なんだもん。いつだってそう、悪いのは私。それなのに、どうして一度も責めないの?「へたれ課長!」口の中で小さく毒づく。本気で嫌っているわけじゃない。むしろ、いつも目が離せなくなってしまっていた。しょっちゅう部長に呼び出されて怒られている、出世も絶対に望めないような人に私はたぶん、恋をしてるんだ。ぼんやりと部長室の扉を見つめた。その扉の向こうで、またあの陰険な部長にがみがみと怒鳴られ続けているのかと思うと、胃の底がきゅっとなる。 『ヘタレラブホテル』の一覧へ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ホテル掲載依頼 ![]() #次のページ ![]() ![]() ![]() ![]() |