ラブホテル物語
絵描きとラブホテル2話:お弁当
家に帰ってパソコンで城崎シローの名前で検索すると､たくさんの結果が出てきた｡｢結構有名なんだ｣でも､考えてみれば､何か月も絵を描いてるだけで生きていけてるんだから､それだけ才能のある人なのだ｡しかも､その人からサイン入りの絵をもらってしまった｡これって高いんじゃない?ついでに検索すると､生原稿のサイン入りとなると､何十万かはすると出てくる｡｢そんな高いものをもらっちゃったの?｣翌日､私はお礼もかねて､お弁当をふたつ作って城崎さんに持って行った｡私がお弁当を差し出すと､あのとろけるような笑顔で｢ありがとう｣と受け取ってくれる｡そしてなんと､｢一緒に食べない?｣と声をかけてくれた｡もちろん大きく頷いて､一緒にベンチに座る｡食べる途中で思わぬことを言われた｡｢しばらく､ここでひとりでお弁当を食べていただろう?気になっていたんだ｡さびしくないのかなって｣そんな優しい言葉をかけてもらえるとは思わなかったので､じんとなる｡さすがにあなたを見ていたとは言えずに､真っ赤になってうつむいた｡城崎さんはそれには気づかないふりをしてくれた｡その日から毎日お弁当を作って持っていく｡そして食べるという日々｡
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