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絵描きとラブホテル
3話:初待ち合わせ

一緒に昼食を食べるようになったある日、城崎さんは私に一枚の絵をくれた。そこには私の絵が描いてある。「プレゼント。名前を書いてあるから」見ると、確かにそこには「美紅へ」と書かれてある。「それから、あとで後ろを見て」そう言うと、城崎さんは顔を赤くして、走り去ってしまう。首を傾げながら、会社に帰って画用紙を裏返すと、「今夜7時に公園で待っている」とある。これってデートの誘い?うれしくなって窓から公園を見下ろすと、こっちを見上げている城崎さんと目があった。たぶん、光が反射して城崎さんからは私の姿が見えない。だから、じっと見つめる。見えているはずがないのに、体の奥がじゅんと熱くなった気がした。けれどその日、私の残業はいつもよりもずっと遅くなってしまう。結局、仕事がひけたのは8時をまわったくらいだった。何度か公園を窓から見下ろしたけれど、暗くなってからはもう城崎さんの姿を見ることができなかった。ようやく外に出た時には、雨が降り始めている。きっと、もう帰ってしまっただろう。せっかく誘ってもらったのに。考えてみれば、ケータイもメアドも知らない相手。連絡が取れない人なんだ。そう思うと胸がずきんと痛んだ。

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