ラブホテル物語
シャトーラブホテル4話:着せられて
｢ラブホテルなんですか?｣あっけにとられて答えた｡｢ああ､そうだよ｡お城のホテルと言えば､ラブホテルだと言われたからね｡そうしてみたんだ｣全然気に留める様子もなく江藤さんは答えた｡ズレている｡そうか､おぼっちゃんで育ってきたんだ｡だから､どこかズレてるんだ｡誰が本当のお城をラブホテルに改築するのよ｡いろいろとつっこみどころはあったけれど､いちいち説明するのも面倒で触れないでおく｡カウンターはきちんとあって､スタッフが待っていた｡｢おかえりなさいませ｡旦那様｣平然と迎えるところを見ると､もともとお城で執事でもしていた人だろうか｡江藤さんは次々に指示をすると､私を自ら部屋へと案内してくれた｡通された部屋は天井が高く､天蓋つきの豪勢なベッドが置かれていた｡｢服はこちらに着替えなさい｡お風呂はそこにあるから｡それがすんだら一緒に食事をしよう｣思わぬ誘いに顔をあげる｡｢最近､ずっとひとりでの食事でさびしかったからいいんだ｣ふっと笑った顔が本当にさびしそうで､思わず胸がきゅんとした｡着替えに出された服はカクテルドレスだった｡いきなり城に連れてこられてドレスを着せられて､自分の状況が信じられない｡
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