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ラブホテル物語
フライングラブホテル5話:浮遊感 本当にラブホテルの最上階が飛ぶ仕掛けになっているらしかった。「すごくきれい。宇宙船に乗ってるみたい」「下から見てる人はそう思うかもね」誠に手を取られて、ソファを立つ。錯覚でふらつくので、彼にしっかりと腰を抱えられていた。自分が憧れていた空を飛べているということに、さゆは思わず涙が出てくる。「泣かないで」誠がこぼれそうなさゆの涙を吸った。「だけど」言葉はそのまま、誠の唇に呑まれる。「もっと飛びたい?」その誠の言葉が何を意味しているかわかっていたけれど、さゆは頷いた。そのまま唇の端を啄ばまれ、優しく髪をなでられて、ベッドへ誘われる。星のきらめきのような街の明かりを天井の鏡が映すから、宇宙の中にいるようだった。絡むキスに我を忘れていく。誠に触られるたびに、窒息しそうな快感が体を震わす。最後は本当に宙に放り出されるような絶頂感がやってきた。飛ぶことを実感する。夢がかなったんだと歓喜の涙がこぼれた。翌朝、もう部屋は屋上におさまっていた。新しい朝の陽ざしに、次の人生を描けている自分にさゆは気づく。横ですやすやと眠る男が今度は自分をどこへ連れていくのかと、さゆは楽しげな気分になり始めていた。 『フライングラブホテル』の一覧へ ラブホテル物語の一覧に戻る
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