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ラブホテル物語
![]() 4話:飛ぶホテル 体中から湯気を出しながら、浴室を出る。誠はバスローブを着て、ソファに座っていた。ペリエは飲み終わったらしく、ワインを開けている。さすがにこっちはラッパ飲みではなく、ワイングラスを使ってる。グラスはふたつ。その片方を持って、飲む?というリアクションをした。私は頷くと、誠から遠いソファに腰を下ろす。「キャビンアテンダント志望だったんだろ?」「はい」「じゃあ、空が好き?」そう問われると、自分がなぜ目指していたかの原風景が見えてきた。小さい頃、飛行機が飛ぶのを見て、どうしようもなく憧れた。だから飛ぶ仕事がしたかった。そのことをとつとつと説明する。「じゃあ飛べればいいんだ」誠がこともなげに返してくる。さゆは首を傾げた。「見て」「え?」機械音とともに、さゆは床が抜けていくような錯覚にとらわれた。けれど、それは目の錯覚。床はもともとガラス張りで、それを覆っていたカバーが開いていったのだ。そして足元に広がったのは、きらびやかな都市の夜景。めまいがしそうな光景に言葉も出ない。「君があたたまっている間に、飛ばしておいた。このラブホテルは飛ぶんだよ」「そ、そんなことって」「作ればある。僕が作ったんだ」 『フライングラブホテル』の一覧へ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ホテル掲載依頼 ![]()
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ラブホテル物語![]() 4話:飛ぶホテル 体中から湯気を出しながら、浴室を出る。誠はバスローブを着て、ソファに座っていた。ペリエは飲み終わったらしく、ワインを開けている。さすがにこっちはラッパ飲みではなく、ワイングラスを使ってる。グラスはふたつ。その片方を持って、飲む?というリアクションをした。私は頷くと、誠から遠いソファに腰を下ろす。「キャビンアテンダント志望だったんだろ?」「はい」「じゃあ、空が好き?」そう問われると、自分がなぜ目指していたかの原風景が見えてきた。小さい頃、飛行機が飛ぶのを見て、どうしようもなく憧れた。だから飛ぶ仕事がしたかった。そのことをとつとつと説明する。「じゃあ飛べればいいんだ」誠がこともなげに返してくる。さゆは首を傾げた。「見て」「え?」機械音とともに、さゆは床が抜けていくような錯覚にとらわれた。けれど、それは目の錯覚。床はもともとガラス張りで、それを覆っていたカバーが開いていったのだ。そして足元に広がったのは、きらびやかな都市の夜景。めまいがしそうな光景に言葉も出ない。「君があたたまっている間に、飛ばしておいた。このラブホテルは飛ぶんだよ」「そ、そんなことって」「作ればある。僕が作ったんだ」 『フライングラブホテル』の一覧へ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ホテル掲載依頼 ![]() #次のページ ![]() ![]() ![]() ![]() |