ラブサスペンス
天国の男たち2話
亭主は布団を引っぺがし､妻の身体をじっと見た｡見事な胸｡滑らかな肌｡突き出た尻｡そしてその尻の前面にある､黒い茂み｡｢おいお前｣亭主はその茂みを見やって言った｡｢どうしてそこが湿っているんだ?｣そう､たしかに妻のその部分は､どう見ても淫蕩な水気を帯びているのである｡｢え､そんなことないわ｡汗よ汗｡これ､汗だわ｣そう言いながら､妻は慌ててその部分に枕を乗せる｡亭主は視線を移した｡｢おいお前｣彼は妻の胸を見ながら､｢その先っぽの隣にある赤いのは､キスマークじゃないのか?｣｢ち､ち､違うわよ｡これはキスマークなんかじゃないわ｡ええと､そう､蚊に刺されたんだわ｣妻はまたも慌てて胸を隠したが､隠すというその行為自体が､逆に亭主の疑惑を深めた｡亭主は確信した｡妻は今の今まで､ここでほかの男とアレコレしていたのだと｡―亭主はとうとう怒りを爆発させた｡｢浮気男はどこだ!人の女房に手を出すやつはどこにいる!｣いきなり叫ぶと､そこいらじゅうを探し回りはじめた｡タンスを開ける｡ベッドの下をのぞく｡｢ちょっと､やめてよあなた｣｢うるさい!男はどこに隠れた!｣裸の妻が必死で止めるのも聞かず､亭主はなおも捜索をつづけた｡便所の中､風呂場の中から食器戸棚の中までのぞきこんだ｡｢男なんていないわよ!｣｢お前は黙ってろ!｣
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