ラブサスペンス
天国の男たち4話
さて話は変わって､ここは天国｡大きくて豪華な門の入り口で､セント･ペテロが門番を務めていた｡彼はつぎつぎやってくる人間たちをここで審査して､天国と地獄に振り分けているのだ｡長年この仕事をやってきたペテロは､最近では単調な毎日に嫌気がさしていた｡本当は一人ずつ､厳密な審査をしなければいけないのだが､面倒くさいので､何人かずつをまとめて審査するようになっていた｡―数人の女たちがやってきた｡｢お前たちの中で､夫を裏切ったことのあるものはいるか?｣すると一人を除いて､ほかの全員がおずおずと手を上げた｡｢よし､じゃあ全員地獄行きだ―はい次!｣手を上げなかった女が､ペテロに抗議する｡｢あたしは亭主を裏切ったりしていません｣ペテロは女をまじまじと見て､｢嘘はいかんぞ､嘘は｡お前のその胸にあるキスマークは何だ?亭主の仕事中に､自分でつけたとでも言うのか?｣ペテロは女の胸を指差す｡女は苛立ったように､しばらくその場でぶつぶつ言っていたが､とうとう首を振ると､白状した｡｢やっぱり亭主も神様も､そう簡単には騙せないわね｣そして彼女は地獄行きの階段を下りていった｡彼女はトランクを追って窓から飛び出した､あの妻であった｡そして妻は亭主の疑惑どおり､やはりクロだったのである｡
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