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ラブサスペンス
![]() 4話 三つめの話。題して『モデル』―さて三たび例の営業マン。ガス屋との一件および医者との一件で、さんざん妻とやりあった。妻はさすがに反省した様子で、「もうしない」と頭を下げた。男はやはり若い妻が可愛かったので、結局許してやることにした。「久々にデートでもするか」ある休日、男は言った。妻は嬉しそうにうなずいた。二人が向かった先は、ある画家の個展であった。この画家は二人の共通の友人で、なかなかハンサムな男性であった。―画廊に入った二人は、風景画、静物画などを心静かに鑑賞してまわった。そのうちに、「んん?」男は一枚の絵の前で立ち止まった。それは裸婦を描いた一枚であった。「この絵の女…おまえに似てないか?」「え…」そう、そこに描かれている素っ裸の女性は、あまりに妻に似ていた。顔も、身体つきも、胸の膨らみ加減までも。「おまえまさか…やつのモデルになったりしてないよな?」疑惑の眼差しで、男は妻を見やる。すると妻は慌てふためいてこう答えた。「そそそそんなことするわけないじゃないのイヤラシイわね」「しかし、じゃあなんでこんなに似てるんだ?おまえやっぱりモデルになったんだろう!」動転した妻は次のような返答で、見事に墓穴を掘ったという。「ももモデルなんてやってないって言ってるじゃない、そうだわ、かかか彼きっと、きき記憶をたどって描いたのよ!」―語るに落ちるとはまさにこのこと。こうして妻の三人目の浮気相手が発覚したのであった。 『現場百景』の一覧へ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ホテル掲載依頼 ![]()
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ラブサスペンス![]() 4話 三つめの話。題して『モデル』―さて三たび例の営業マン。ガス屋との一件および医者との一件で、さんざん妻とやりあった。妻はさすがに反省した様子で、「もうしない」と頭を下げた。男はやはり若い妻が可愛かったので、結局許してやることにした。「久々にデートでもするか」ある休日、男は言った。妻は嬉しそうにうなずいた。二人が向かった先は、ある画家の個展であった。この画家は二人の共通の友人で、なかなかハンサムな男性であった。―画廊に入った二人は、風景画、静物画などを心静かに鑑賞してまわった。そのうちに、「んん?」男は一枚の絵の前で立ち止まった。それは裸婦を描いた一枚であった。「この絵の女…おまえに似てないか?」「え…」そう、そこに描かれている素っ裸の女性は、あまりに妻に似ていた。顔も、身体つきも、胸の膨らみ加減までも。「おまえまさか…やつのモデルになったりしてないよな?」疑惑の眼差しで、男は妻を見やる。すると妻は慌てふためいてこう答えた。「そそそそんなことするわけないじゃないのイヤラシイわね」「しかし、じゃあなんでこんなに似てるんだ?おまえやっぱりモデルになったんだろう!」動転した妻は次のような返答で、見事に墓穴を掘ったという。「ももモデルなんてやってないって言ってるじゃない、そうだわ、かかか彼きっと、きき記憶をたどって描いたのよ!」―語るに落ちるとはまさにこのこと。こうして妻の三人目の浮気相手が発覚したのであった。 『現場百景』の一覧へ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ホテル掲載依頼 ![]() #次のページ ![]() ![]() ![]() ![]() |