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ラブサスペンス
![]() 2話 お互いさま@―あるパーティ会場の隅で、初対面の二人の男が酒を飲んでいた。どちらもなかなかの男前だ。一人は色白で細身。一人は色黒の筋肉質。「おい、あそこを見なよ」細身の男が言った。「女が二人並んで歩いているだろう?」筋肉質の男は相手の指す方向を見て、「ああ。彼女たちがどうかしたのか?」「どちらも上等な女だと思わないかい?一人はグラマーで色気たっぷり。もう一人はアイドル歌手みたいに可愛らしい顔をしている」「ん、ああたしかにそうだね」筋肉質はうなずいた。細身の男は鼻を鳴らして、「じつはさ、あれは両方僕の女なんだ」と自慢げに告白した。「グラマーなほうは僕の妻。アイドルっぽい娘のほうは、僕の愛人なんだよ」「そりゃ本当かい?」筋肉質の男は驚いて相手の顔を見直した。「本当さ」細身の男は得意になって顔をにやつかせる。すると筋肉質の男は腕を組んで唸った。「そうか…世の中には偶然ってものがあるもんだな…お互いさまというわけか」「え?」細身の男は相手の言っていることがよく解らず、訊ねた。「どういうことだい?偶然とかお互いさまとか…」「いやじつはさ」筋肉質の男は難しい顔をしてこう答えた。「俺はまるっきり、その逆なんだよ」「逆?」「ああ。あの可愛らしい娘は俺の妻だ。そしてグラマーなほうが、俺の愛人なのさ」「…」「…」 『お互いさま』の一覧へ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ホテル掲載依頼 ![]()
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ラブサスペンス![]() 2話 お互いさま@―あるパーティ会場の隅で、初対面の二人の男が酒を飲んでいた。どちらもなかなかの男前だ。一人は色白で細身。一人は色黒の筋肉質。「おい、あそこを見なよ」細身の男が言った。「女が二人並んで歩いているだろう?」筋肉質の男は相手の指す方向を見て、「ああ。彼女たちがどうかしたのか?」「どちらも上等な女だと思わないかい?一人はグラマーで色気たっぷり。もう一人はアイドル歌手みたいに可愛らしい顔をしている」「ん、ああたしかにそうだね」筋肉質はうなずいた。細身の男は鼻を鳴らして、「じつはさ、あれは両方僕の女なんだ」と自慢げに告白した。「グラマーなほうは僕の妻。アイドルっぽい娘のほうは、僕の愛人なんだよ」「そりゃ本当かい?」筋肉質の男は驚いて相手の顔を見直した。「本当さ」細身の男は得意になって顔をにやつかせる。すると筋肉質の男は腕を組んで唸った。「そうか…世の中には偶然ってものがあるもんだな…お互いさまというわけか」「え?」細身の男は相手の言っていることがよく解らず、訊ねた。「どういうことだい?偶然とかお互いさまとか…」「いやじつはさ」筋肉質の男は難しい顔をしてこう答えた。「俺はまるっきり、その逆なんだよ」「逆?」「ああ。あの可愛らしい娘は俺の妻だ。そしてグラマーなほうが、俺の愛人なのさ」「…」「…」 『お互いさま』の一覧へ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ホテル掲載依頼 ![]() #次のページ ![]() ![]() ![]() ![]() |