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バースデープレゼント
4話

「さあ入って」一人暮らしの姫野曜子の部屋は、綺麗に片付いていて、なかなか広々としていた。しかし茂手泰造にはそんなことに感心している余裕はない。(バースデープレゼント…バースデープレゼント…わざわざ自宅で…もしかして彼女は僕に…いやしかし…)そんなとりとめもない考えで彼の頭はいっぱいである。―二人はソファーに座って、しばらく歓談した。やがて茂手泰造は、とうとう耐え切れなくなって、彼女に訊いた。「ひ、ひ、姫野さん…あの、ぼ、ぼ、僕にくれるバースデープレゼントっていうのは…その、何だろうかねえ?」すると彼女はちらりと彼の眼を見てこう言ったのである。「プレゼントはね…物じゃないの」「も、物じゃない?」「ええ」うなずいて、彼女は立ち上がる。そして彼に背を向けると、「少し経ったら、寝室に来て…あたし、先に行ってる」そう言って彼女は寝室へと消えた。あとに残された茂手泰造は、自分の身体がこれまで感じたこともないような猛烈なエネルギーに満たされていくのを感じていた。「茂手泰造よ、おまえは今夜、生涯最高の誕生日を過ごすことになりそうだ!」胸の内で彼は叫んだ。

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