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ラブサスペンス
![]() 2話 私は三十余年来、長野県でも有数の名家である河野玉家の執事をやっております。河野玉はコウノタマとお読みします。さて私はこの三十余年、ご主人様にも奥様にも大層よくしていただき、ここでの生活に何の不満もなく過ごしてまいりました。しかし昨今、私にはひとつ心配の種がございます。それは、この河野玉家のお嬢様、河野玉姫々様のことでございます。姫々はヒメヒメとお読みします。今年で御年十七歳。お名前に劣ることなく、それはそれは美しいお嬢様でございます。気立てもよく、お優しい方でございます。しかし―名家の一人娘の例に漏れず、なにしろ姫々様は世間知らずなのでございます。そして世間知らずなだけに、悪意のないその言動が、周囲の人々を困らせてしまうのでございます。蝶よ花よと育てられたお嬢様は、社会のことなどまるでご存知ありません。ましてや男女のこととなると、その知識のレベルたるやもう赤子と変わりないのでございます。このことこそが、私の心配の種なのです。本日はこの場をお借りして、私がこれまで見聞いたしました、お嬢様の哀しくも可笑しい言動の数々を皆様にお聞きいただこうかと思っております。 『お嬢様観察日記』の一覧へ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ホテル掲載依頼 ![]()
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