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ラブサスペンス
![]() 4話 そしてたしかにその両手は白く光っておりました。「お嬢ちゃん、この牛の乳を搾ったって?」太山がいきなりすっとんきょうな声を上げます。「そりゃあしかし…牛もびっくりしたろうなあ!」そう言って太山は奇妙な顔で牛を見やりました。私もそちらに視線を向けて―思わずぽかんと口を開いてしまいました。何故かといえば、その牛が雄牛だったからでございます。…私はそのとき心に決めました。ご主人様には決して報告するまい―今日お嬢様が牧場で何を絞ってしまったのかを。またある日、こんなこともありました。リビングの棚に陳列してあります丸いガラス瓶を見て、お嬢様は言いました。「ねえ、このガラス瓶はいったいどうやって作られるのかしら?」その瓶は、ご主人様のお知り合いの工芸家がお作りになったものでした。「それはですなお嬢様、もともとはガラスの管がございまして、その管に息を吹き込むのです。すると管の端がそうして膨らんでまいりますので、そこで管の部分を切り落とすのです」「なるほど、そうしてこの可愛い瓶ができあがるのね」言ったあと、お嬢様はしばらくのあいだ何かを思い出しているかのような表情をお見せになりました。 『お嬢様観察日記』の一覧へ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ホテル掲載依頼 ![]()
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