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ラブサスペンス
![]() 2話 「あれっ、きみはまたこっそりワインでもなめたんじゃない?」そういって、金色のちっちゃな天使はくすくすと笑いました。「うふふ、だめだよそんないじわるいっちゃあ」そういって、銀色のちっちゃな天使も、銀色の袖もとでそっと口元をおさえました。―暖炉の火がきらきらと反射している窓ガラスの外には、白い雪がちらちらと降りているのが見えます。でも、丸太で頑丈につくられた小屋のなかは、ぽかぽかと暖かいのです。「だってほら、ごらんよ、サンタさんの大事にしているクリスマスブドウのワインをなめでもしなけりゃあ、こんなに赤い鼻にはならないさ」金色の天使は、こんどはトナカイの大きな赤い鼻を金色の指先でちょこちょことつっつきました。「ほらほらだめだってば、いじわるしちゃあ…うふふ…よしなよ、きみ…うふふふ」銀色の天使はそういいながらも、その様子が愉快でたまらないようです。―さきほどからじっと黙っていたトナカイは、とうとう我慢ができなくなりました。ですから、二人の天使をおもいきりおどかしてやろうと思って、二本の前足をせいいっぱい高く持ち上げてばたばたと動かしてみせました。二人の天使は、わぁとにぎやかな声をあげて、樫のテーブルの向こうがわへ逃げました。それでもまだ二人はくすくすと笑っています。笑いながら、二人の天使は声をそろえていいました。「赤鼻のトナカイさん!」―トナカイの目には、とうとう涙がじわっとあふれてきました。 『リンゴの布ぶくろ』の一覧へ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ホテル掲載依頼 ![]()
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