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ラブサスペンス
![]() 3話 でも、二人のちっちゃな天使にそんな情けない自分の顔を見られるのがとても嫌だったので、くるりと後ろを向きました。そして、玄関の楡のドアのほうへ歩いていきました。トナカイが小屋を出ようとして、ドアのノブに前足をかけたそのときです。ドアは外側からいきおいよく開かれました。「ホーホーホー!いやぁすっかり遅くなってしまった。橇に塗る油がどこにも売っていなくてね」サンタさんが買い物から帰ってきたのでした。サンタさんはドアの内側にいるトナカイに気がつくと、「おや、おまえはいまごろどこへ行くんだい?もうすぐ出発だよ?」サンタさんが顔をのぞきこんできたので、トナカイは無理やりに笑った顔をつくりました。それから「なんでもないんですよ」というように、さもくつろいだふうに伸びをしてみせたのでした。―二人のちっちゃな天使は、声をそろえてサンタさんにあいさつをしました。「おかえりなさい、サンタさん!」「ホーホーホー、ただいま!二人とも、いい子にしていたかな?」「もちろんです、サンタさん!」「よーしよしよし、今日は年に一度のクリスマスだよ!これから世界中を走りまわって、たくさんの幸せを配らなきゃあならん。さあさあ、もうこんな時間だ。はやいとこ橇に油を塗らなくちゃ。みんな、こっちへおいで」サンタさんはとても嬉しそうに、物置のほうへと歩いて行きました。ほこりがいっぱいの、せまくるしい物置のすみには、おんぼろの橇があります。 『リンゴの布ぶくろ』の一覧へ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ホテル掲載依頼 ![]()
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ラブサスペンス![]() 3話 でも、二人のちっちゃな天使にそんな情けない自分の顔を見られるのがとても嫌だったので、くるりと後ろを向きました。そして、玄関の楡のドアのほうへ歩いていきました。トナカイが小屋を出ようとして、ドアのノブに前足をかけたそのときです。ドアは外側からいきおいよく開かれました。「ホーホーホー!いやぁすっかり遅くなってしまった。橇に塗る油がどこにも売っていなくてね」サンタさんが買い物から帰ってきたのでした。サンタさんはドアの内側にいるトナカイに気がつくと、「おや、おまえはいまごろどこへ行くんだい?もうすぐ出発だよ?」サンタさんが顔をのぞきこんできたので、トナカイは無理やりに笑った顔をつくりました。それから「なんでもないんですよ」というように、さもくつろいだふうに伸びをしてみせたのでした。―二人のちっちゃな天使は、声をそろえてサンタさんにあいさつをしました。「おかえりなさい、サンタさん!」「ホーホーホー、ただいま!二人とも、いい子にしていたかな?」「もちろんです、サンタさん!」「よーしよしよし、今日は年に一度のクリスマスだよ!これから世界中を走りまわって、たくさんの幸せを配らなきゃあならん。さあさあ、もうこんな時間だ。はやいとこ橇に油を塗らなくちゃ。みんな、こっちへおいで」サンタさんはとても嬉しそうに、物置のほうへと歩いて行きました。ほこりがいっぱいの、せまくるしい物置のすみには、おんぼろの橇があります。 『リンゴの布ぶくろ』の一覧へ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ホテル掲載依頼 ![]() #次のページ ![]() ![]() ![]() ![]() |