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ラブサスペンス
![]() 5話 しばらくのあいだ、誰もなんにもいいませんでした。でも、それぞれが、それぞれの頭の中で、いろいろなことを考えていました。とうとうサンタさんがいいました。「ホーホーホー…わかったぞ、わかったぞ。こら、おまえたちはトナカイの赤い鼻を笑ったのではないのか?」そういわれて、二人の天使は肩をすぼめて小さくなりました。じっとうつむいたまま、なにもこたえることができませんでした。トナカイも、ただじっとうつむいていました。サンタさんはいいました。「…ねえ、トナカイや。その袋を取ってはくれんかね?おまえがそんなものを鼻におっかぶせていると、まったくもってわたしは難儀してしまうだろうからね」―トナカイは不思議そうにサンタさんの顔を見上げました。サンタさんはつづけます。「ほらごらんよ、このおんぼろ橇をさ。ランプもなにもありゃあしない。もうずいぶんと長いこと使ってきたからね」トナカイは、自分の後ろにある旧式の橇を振り返りました。「でもわたしはこの橇が好きなんだよ。新しいのに買いかえるつもりなんてまったくない。 『リンゴの布ぶくろ』の一覧へ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ホテル掲載依頼 ![]()
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ラブサスペンス![]() 5話 しばらくのあいだ、誰もなんにもいいませんでした。でも、それぞれが、それぞれの頭の中で、いろいろなことを考えていました。とうとうサンタさんがいいました。「ホーホーホー…わかったぞ、わかったぞ。こら、おまえたちはトナカイの赤い鼻を笑ったのではないのか?」そういわれて、二人の天使は肩をすぼめて小さくなりました。じっとうつむいたまま、なにもこたえることができませんでした。トナカイも、ただじっとうつむいていました。サンタさんはいいました。「…ねえ、トナカイや。その袋を取ってはくれんかね?おまえがそんなものを鼻におっかぶせていると、まったくもってわたしは難儀してしまうだろうからね」―トナカイは不思議そうにサンタさんの顔を見上げました。サンタさんはつづけます。「ほらごらんよ、このおんぼろ橇をさ。ランプもなにもありゃあしない。もうずいぶんと長いこと使ってきたからね」トナカイは、自分の後ろにある旧式の橇を振り返りました。「でもわたしはこの橇が好きなんだよ。新しいのに買いかえるつもりなんてまったくない。 『リンゴの布ぶくろ』の一覧へ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ホテル掲載依頼 ![]() #次のページ ![]() ![]() ![]() ![]() |